猟奇趣味的激烈なんたらかんたら

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by うぃる (@will) | 公開: 2026.03.19 (更新: 2026.03.19) | ASIN: B002F04TQO
1999年にこれを初めて聴いたとき、正直ちょっと戸惑ったのを覚えている。当時の自分は新しいメタルシーンをそれなりに追いかけていて、Korn やDeftones、Limp Bizkit あたりのいわゆるNu-Metalにはまってた頃だったんだよね。
Slipknot 登場当初はNu-Metal文脈で語られていたし、ちょっと色物みもある激しめの次世代メタルだったんかな。
絶望を背負ったような内から吐き出される嗚咽のような叫びはジョナサンを彷彿とさせたし。正直激しめなKornフォロワーって思った節もあった。
すぐに、「あ、違うわコレ。なにか新しいメタルの転換期来るかも」ってなったの覚えてるね。

9人編成っていうのは当時かなり異質だった。(んであのマスク、いでたちだもの色物ゲフンゲフン...)
パーカッションが3人いて、ターンテーブルとサンプラーまで入っている。それがただのアクセントじゃなく、リズムの核として機能しているのがこのアルバムの面白いところで、特に "Surfacing" や "Eyeless" あたりで顕著に感じられる、あの地鳴りのような低域のパルスは、Joey Jordison のドラムと複数のパーカッションが絡み合うことで生まれていた。あそこまで「肉体的」なヘビーネスは、当時のモダンメタルにはなかったと思う。

Korn の1stが95年で、Nu-Metal というカテゴリがある程度定着しかけていた時期だけど、Slipknot はそのフォーマットにも収まりきらなかった。リンプのようにターンテーブルがいても、SlipknotにHIPHOPを感じる人はいないと思うんだよね。
もっとデスメタル寄りの攻撃性があったし、Corey Taylor のボーカルも単なるラップ混じりのグルーヴ系じゃないく、スクリーム、呻き、語りが混ざり合って、一種の「壊れた人間」を演じているような凄みがあった。「Wait and Bleed」だけはシングルカットされてラジオ向けの聴きやすさもあったけど、アルバムの文脈で聴くと、その"聴きやすさ"すら不穏に聴こえてくる不思議さがある。
あのシャウトでメロディを歌う感はカートレベルのやばさを感じたよね。

プロデュースはRoss Robinson。彼はKornやRage Against the Machineも手掛けていて、この時期のヘビーロックの「生々しさ」を引き出すことに関しては第一人者だった。あえてクリーンにしすぎず、ざらついたテクスチャを残す録音はこのアルバムでも活きていて、マスク姿の9人というビジュアルの異様さと音がぴったり一致している。パカパカしたドラムの音もRossならではというか(笑)
そんな音を聴くだけで、なにかおかしいものを見ている感覚になる、それがこのアルバムの本質的な強みだろうと思う。

冒頭の導入的SE曲742617000027からsic。
そしてEyelessの圧倒的絶望的シャウト。Wait And Bleedの完成度、Surfacing のグルーブ感と突撃感。
まさにメタルの次の時代の始まりを予感したよね

じゃぁ、全部がフルスロットル、捨て曲無しか?というとそうでもなくて、中盤から後半にかけて僕はそこまで燃えた曲があるわけでもない

後半の "Purity" や "Scissors" は不気味にじわじわと展開していく感じ、アルバムの終わりが叫びではなく、暗闇に引きずり込まれるような感覚で終わるのは意図的な構成だろう。
一枚を通して聴くと、ただのヘビーアルバムではなく、かなり練られたコンセプトアルバムに近い印象を受ける。

デビュー作にしてはあまりにも完成されすぎていて、その後の彼らが「1st を超えられない」と言われ続けた理由もわかる気がする。これは現象だったんだよね。音楽というより事件に近かった。

「All Hope Is Gone以降のモダンメタルのお手本的なアルバムも嫌いじゃないが、やっぱSlipknotと言ったら1stなんだよなぁおじさん」が多いだろうなって思ってますよ。ええ。
この作品の推しポイント
  • Corey Taylorのスクリームと語りが交錯する「壊れた肉声」
  • 複数パーカッションが生む、胸に直撃する物理的なリズムの圧
  • 現代メタルの礎となったリフワーク
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うぃる

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